Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1335回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、現在公開中の『逃げろお嬢さん』と 『バイオハザード』をご紹介します。

(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
『逃げろお嬢さん』推しを守りたい、信じることで。
『国宝』や『横道世之介』などで知られる人気小説家・吉田修一の短編集『逃亡小説集』の一編を実写映画化した『逃げろお嬢さん』。
民宿の経営者が偶然助けたのは、長年ガチファンの元アイドルだった!? “一億総推し活ブーム”とも言われている時代。“推し”を信じ抜く男が起こした小さな奇跡を描いたヒューマンドラマです。

(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
『逃げろお嬢さん』のあらすじ
親の跡を継いで温泉宿を営み、つつましやかな生活を送っている康太。ある日、道端で不審な車を見つけた彼は、その車の運転手に驚愕する。
なんと康太が高校時代から推している元アイドル・鮎川舞子だったのだ。しかし報道によると、舞子は夫が薬物で逮捕され、彼女自身も行方不明と言われている。
思いもよらない出来事に混乱する康太だったが、彼女のために自分ができることは何かと思案して……。

(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
『逃げろお嬢さん』のみどころ
主人公・康太を演じたのはKing Gnuのボーカル・キーボードとして活躍し、俳優としても存在感が増している井口理。映画主演作は、今作が2作目となります。原作ファンの間では、主人公と井口理の持ち味が一致してナイスなキャスティングだと話題で持ちきり。どこか不器用で一途な男性を好演しています。
そして、鮎川舞子に扮したのは深川麻衣。アイドルから俳優へ転身し、着実にキャリアを積んできた彼女と舞子は、どこか重なる部分も。劇中ではアイドルとして歌い踊るシーンもあり、その可憐な姿は必見です。
監督は、脚本家として活動する一方で、近年は『ひとりぼっちじゃない』『サイド バイ サイド 隣にいる人』で脚本・監督を務めた伊藤ちひろ。登場人物に温かな眼差しを向け、「応援すること」の本質を描き出しました。

(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
本作で特に印象的だったのが、康太と舞子の会話。朴訥としたやり取りは、ちょっぴり噛み合わない部分さえ微笑ましく、彼らがこれまで生きてきたバックグラウンドを否応なく想像してしまいます。
応援する側、される側。そのエネルギー循環の素晴らしさもさることながら、私は自分の内側にあるものを信じる大切さについて考えさせられました。
推しがいる、いないにかかわらず観てほしい、切なくも心温まる一作です。

バイオハザード
『バイオハザード』バイオ愛が炸裂するサバイバルホラー
今年、2026年にリリース30周年を迎え、シリーズ累計販売本数2億本を突破したカプコンの金字塔的サバイバルホラーゲームシリーズ「バイオハザード」。これまでにも数々の実写映画シリーズ、CGアニメシリーズを製作。いずれも大ヒットを記録しましたが、今作『バイオハザード』は、鬼才・ザック・クレッガー監督が手がけた完全新作です。
主人公は普通の配達人、届ける物は医療品、そして目的地はラクーンシティ総合病院。このシンプルな設定が見事にハマり、実に痛快。主人公目線でリアルタイムに物語が進行していくので、観客も一緒にゲームの世界に放り込まれたような没入感を味わえます。
逃げて逃げて逃げまくる、スリルと恐怖のエンタテインメント・ホラー。人気シリーズの新たなる傑作です。

(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room
<作品情報>
逃げろお嬢さん
全国公開中
出演:
井口 理(King Gnu) 深川麻衣
浅香航大 河井青葉 田中偉登
川俣しのぶ あぁ〜しらき
竹中凌平 塚越健一 栗田学武 岩男海史 浪越小百合 磯村アメリ
原作:吉田修一「逃げろお嬢さん」(『逃亡小説集』所収・角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督・脚本:伊藤ちひろ
配給:NAKACHIKA
制作協力:THEFOOL
製作:In Her Room
(C)2026 吉田修一/KADOKAWA/In Her Room

バイオハザード
<作品情報>
バイオハザード
2026年10月9日(金)から全国の映画館で公開
出演:オースティン・エイブラムス ザック・チェリー カーリー・レイス ポール・ウォルター・ハウザー
日本語吹替版:下野紘 早見沙織 日笠陽子 Lynn 小野大輔 杉田智和 永瀬アンナ KENN 上坂すみれ 小林親弘 斉藤貴美子 宮内敦士 杏寺円花 かぬか光明 草野峻平
監督:ザック・クレッガー
脚本:ザック・クレッガー、シェイ・ハッテン
製作:ロバート・クルツァー ザック・クレッガー ロイ・リー ミリ・ユーン ヴィクター・ハディダ アサド・キジルバッシュ カーター・スワン
製作総指揮:オリヴァー・ベルベン リチャード・ライト ロバート・ベルナッチ
原題:RESIDENT EVIL
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
