南(芦田愛菜)が同じ自閉スペクトラム症の青年を弁護することに。厳しい現実に直面した南が下した決断とは ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話




芦田愛菜さん主演ドラマ『南田南弁護士は天才肌』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜 午後10:00)第3話が放送されました。








【動画で見る】『南田南弁護士は天才肌』<出演:芦田愛菜、高橋文哉ほか>







世界的にも大ヒットしたパク・ウンビン主演の韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(2022年)の日本版リメイクである本作。









主人公は天才的な記憶力とひらめきを持つ、自閉スペクトラム症の新人弁護士・南田南(芦田愛菜)。東大法学部を首席で卒業し、大手法律事務所で働く彼女が出会うさまざまな人たちとの交流、家族や友人との大切な絆(きずな)を通じ、弁護士として、そして一人の人間として成長していく姿を描くハートフル法廷ドラマです。









(以下、第3話のネタバレを含みます)











◆南と同じ自閉スペクトラム症の被告人












ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話 山口馬木也 大政凜 芦田愛菜









ある日、南はパートナー弁護士の宮地賢吾(山口馬木也)から自分が担当する案件を一緒に受け持ってもらえないかと相談されます。それは遺伝子工学関連の製品を手がけているフカマチ・バイオテックの会長、深町清隆(浜田学)からの依頼で、大学生の長男・駿介(芳村宗治郎)を1歳下の弟・惣介(大政凜)が殴って死なせてしまった傷害致死事件でした。









顔合わせ当日、南たちの前に現れたのはヘッドフォンとサングラスをしたままの惣介。南と同じ自閉スペクトラム症でした。付き添いの母親・美由紀(河井青葉)によれば、惣介は優しい性格で兄弟仲も良かったといいます。宮地と南は彼から詳しい話を聞こうとしますが、なかなか思い通りにいかず、コミュニケーションがうまく取れません。









帰宅した南は父・誠(角田晃広)に相談します。誠は子どもの頃の南を振り返り、「何か聞き出したいなら、その人の好きなものを掘り下げたらいい」と自らの体験に基づいたアドバイスを贈ります。誠の父親としての優しさが心にしみる名シーンでした。











ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話 角田晃広 芦田愛菜











◆南がウルトラマンゼロに変身?!










惣介との再面談で、南は彼が好きな「ウルトラマンゼロ」になり、懸命にコミュニケーションを図ります。ウルトラマンの悪役・ベリアルに扮(ふん)した宮地に向かってゼロの必殺技・ワイドゼロショットのポーズを決める惣介。すかさず一緒にポーズを決めるとともに、どうして兄を殴ったのか理由を尋ねる南でしたが、惣介は興奮して「やめろ! やめろ!」と叫び、調査はまた振り出しに戻ります。









あくる日、パラリーガルの船井湊人(高橋文哉)とともに駿介の部屋を訪れた南。ベッドの下にあった電気コードの2箇所が直角に曲がっていることが気になり、駿介が首を吊(つ)ろうとしていたのではないかと推察します。惣介の「やめろ!」は兄から何かをされたのではなく、兄の行動を止めようとしたからだったのでは……。









さらに駿介の残したノートには、苛烈なプレッシャーに押し潰されそうになっていた彼の悲痛な心の叫びがつづられていました。しかし、両親は成績が良くテニスでインターハイにも出場したという駿介が自分で死を選んだということをなかなか受け入れようとしません。「死んだ息子に恥をさらさなくたっていいでしょう」という父の清隆に対し、南は「生きている惣介さんの名誉はどうなるんですか?自閉症だからといって、わけもなく兄を殴って殺したのではないということを証明すべきです」と訴えます。そんな南に清隆から「あんただって自閉症だろう!」と心ない言葉をかけられてしまいます。さらにニュースサイトのコメントに惣介の自閉症や障害に対する暴力的な書き込みが。そこにつけられた「いいね!」を南は黙って見つめるのでした。











◆兄を助けようとした弟。南が下した決断とは












ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話 大政凜 芦田愛菜 高橋文哉









第一回公判・証人尋問では惣介の行動制御能力が問われました。事件当日、彼はパニックを起こし、感情や行動のコントロールができなくなり、結果的に兄に対して暴力を振るってしまったのだと主張する南。しかし、検事は南を引き合いに出し、「自閉症の被告人(惣介)は、他の犯罪者と違うから減刑すべきと言いながら、自閉症の弁護士(南)は同等に扱えと?おかしくないですか?」と、揺さぶりをかけてきます。閉廷後、清隆は南を担当から外してほしいと宮地に告げ、南もそれを受け入れるのでした。









あくる日、湊人が事務所の南の個室に入ると、なんと首を吊ろうとする南の姿が! 慌てて湊人は南を抱えあげコードを外すと、そのまま床に背中から倒れ込んでしまいます。間一髪でしたが、そこで南はひらめきます。駿介の死亡診断書によると、死因は肋骨22本が折れたことによる胸腔内出血でしたが、そのうち右側背面の11本が直線状に折れていました。これは単に殴ったから出来るものではありません。









南は骨折時の二人の体勢に気づいたのです。惣介は自ら命を断とうとしていた兄を助けようとしたのでした。そう、大好きなウルトラマンゼロのように。背面の11本の肋骨は惣介が殴って折れたのではなく、兄を抱きかかえてそのまま床に倒れ込んだ拍子に折れたのです。









ようやく父・清隆も自分が駿介にかけていたプレッシャーを認めますが、南に替わった弁護士の氷見琢磨(細田佳央太)が担当を継続することを希望。宮地によればどうやら傷害致死は不成立(無罪)になりそうな見込みです。そのことを直接、南に伝えようと急ぐ湊人。しかし、南は自分の部屋の荷物をすべて片づけ、事務所を去っていたのでした……。











◆このまま南は弁護士を辞めてしまうの?










今回の第3話には、重要な意味を持つ3つのポイントがありました。









1つ目は、南と同じ自閉スペクトラム症を持つ青年・惣介。南が説明していたように「自閉スペクトラム症」には個人差があり、社会性やこだわりの度合いには違いがあるのです。「自閉症」を一括りにすることはとても乱暴なことです。私たち一人一人の個性にもグラデーションがあるように、この特性にもさまざまな個性があることを知る必要があります。









2つ目は、湊人の大学時代の同級生・加恋(トラウデン直美)が言った「障害者のボランティアまだ続けてるんだ」という何気ない一言。障害がある人=助けが必要な人、可哀想な人という無意識の偏見が社会には少なからず残っているかもしれません。もちろんサポートが必要な場合はありますが、上から目線でそのような見方をしている限り、真の意味での共存は遠いでしょう。











ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話 高橋文哉









そして3つ目が、ナチス政権下のドイツの例を挙げ、自閉スペクトラム症の人が「生きる価値がない命」として扱われた残酷な歴史を語った南のモノローグ。原作でも描かれていましたが、日本版でもしっかり採用したところに作り手の意気を感じます。自閉スペクトラム症ときちんと向き合った素晴らしい演出だと私は思いました。









さて、3話目にして南が事務所を去ってしまう急展開!これからどうなるのでしょうか。 南にはどうか戻ってきて欲しい!! 









ではまた来週! 南田 to the 南! タッチ! シャッチ!









文:中村裕一

エンターテイメントジャーナリスト。自らの経験に基づいたテレビドラマの総括レビューや、俳優への深掘りインタビューなどを手がける。








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