第31回釜山国際映画祭の開幕式で、単独司会を務める俳優のキム・ミンハ=6日、釜山

第31回釜山国際映画祭の開幕式で、単独司会を務める俳優のキム・ミンハ=6日、釜山

[釜山=テレシア・マーガレット]
[写真=釜山国際映画祭]

第31回釜山国際映画祭の開幕式で単独司会を務めた俳優のキム・ミンハにとって、ステージは自らの想いを伝える場であると同時に、他者の物語に耳を傾ける術を学ぶ場でもあった。「自分が話す側になってはじめて、一つひとつの言葉を口にすることの重みと緊張感を実感した」と振り返った。

キム・ミンハは8日、釜山・海雲台区の新世界百貨店センタムシティ店の文化ホールで開かれた「アクターズハウス」に登壇し、開幕式の司会を務めた感想や、一人の役者としての葛藤について観客と語り合った。

キム・ミンハが観客として初めて釜山国際映画祭を訪れたのは、20歳の頃だった。演劇映画学科の学生だった彼女は、自分でチケットを購入し、映画『ジョン・ウィック』を鑑賞した。映画祭の熱気に魅了され、いつか自分もその輪に加わりたいと思ったという。それから時を経て、今では開幕式の司会として映画祭の幕開けを飾る存在となった。

キム・ミンハが世界的に注目されるきっかけとなったのが、2022年のドラマ『パチンコ』だ。若き日のソンジャ役を熱演し一躍脚光を浴びたが、突然の注目に戸惑いもあった。それまでも地道に俳優としてのキャリアを重ねてきたものの、一夜にして膨れ上がった世間の期待を前に、どのように振る舞うべきかわからなかったという。

映画『ハナ・コリア』(2026年)では、韓国で新たな生活を築こうと奮闘する脱北者ヘソンを演じた。自身には想像の及ばない人生だけに、関連するインタビューを読み込み、慎重に役を作り上げていった。一方、懸命に生きるヘソンの姿には、誰もが深く共感できる普遍的な感情を見出した。観客にも、この映画を通じて自らの歩みを振り返り、自身を労わってほしいと願ったという。

第31回釜山国際映画祭の開幕作『昼と夜はお互いに』の記者会見で、発言するキム・ミンハ(左)=6日、釜山

第31回釜山国際映画祭の開幕作『昼と夜はお互いに』の記者会見で、発言するキム・ミンハ(左)=6日、釜山

今年の釜山国際映画祭では、開幕作『昼と夜はお互いに』と、オンスクリーン部門の招待作『蜂蜜アルバイト』に出演した。日常の何気ない会話を軸にした映画と、奇妙な事件が次々と起こるシリーズ作品で、それぞれ異なる表情を見せた。

11月公開予定のキム・ジョングァン監督作『昼と夜はお互いに』は、夏から秋へと移ろいゆく季節の狭間、とあるカフェを訪れた4組の男女が交わす対話を描いた作品だ。キム・ミンハ演じるユジンは、友人に自分が見た夢について語る。何気ない言葉のやり取りを通じて、それぞれの人物像が浮かび上がる。

一方、30日に配信開始予定のキム・ダミン監督によるNetflixシリーズ『蜂蜜アルバイト』は、これまでとは趣の異なる作品だ。借金に追われる青年ヒョクジュンが、正体不明の高収入アルバイトに手を出したことをきっかけに、ありふれた労働現場で奇妙な事件が次々と起こる。キム・ミンハは、イ・ジェウク演じるヒョクジュンの妹で、兄を救おうと奔走するジユンを演じる。

『蜂蜜アルバイト』でアクションシーンに挑戦した彼女は、今後本格的なアクション作品への出演にも意欲ものぞかせた。映画『LUCY/ルーシー』が好きで、『マッドマックス』のように女性が力強く活躍する作品にも関心があるという。機会があれば、アクションスクールでしっかりと訓練を積んで臨みたいと語った。

「アクターズハウス」で、観客と語り合うキム・ミンハ(右)=8日、釜山

「アクターズハウス」で、観客と語り合うキム・ミンハ(右)=8日、釜山

新たな役に挑むうえで心がけているのは、過去に演じた役柄を引きずらないことだ。出演作が続くと、別の人物を演じる際にも、以前の役の話し方が癖のように出てしまうことがあるという。以前は自分の出演作を見るのが苦手だったが、今では新たな演技を模索するため、過去の作品を見返している。

出演作を選ぶ基準も、試行錯誤を重ねるなかで定まってきた。『パチンコ』への出演後は、海外を中心に活動するだろうという周囲の見方に対し、韓国でも着実に演技を続ける道を模索してきた。自分が何を目指し、何を大切にしたいのかを見つめ直し、その思いを軸に脚本を読み、出演作を選んできたという。

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