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キレイで上品で、でもちょっとお茶目なところもあって、なんならドジなところもあって、超絶かわいい。職場にこんな先輩がいたら、どんなにいいだろう!
そんな綾瀬はるかさんの最新作は、バブル時代を背景にしたリーガルエンターテインメント。彼女が演じる弁護士は、チャーミングで有能で、時代に立ち向かう勇気を持っている。そして敵に回すのは、この時代の“常識”。さあ、覚悟しなさい!
演じるのは、日本初の
ハラスメント裁判に挑む敏腕弁護士!
真っ赤なスーツにハイヒール。10月2日に公開される映画『ファーストボイス』のポスターの真ん中で微笑む綾瀬はるかさんは、ちょっと昭和~平成テイストだけど、超絶カッコいい。役柄は、弁護士。さぞかしデキる女路線かと思ったら、そうでもなくて。
時はバブルの最盛期。3人の子どもを育てながら弁護士として働く朝日道子(綾瀬はるかさん)は、裁判に遅刻はするし寝癖ヘアだしウチに戻れば洗濯&料理に追われている、ワーキングウーマン。夫も弁護士なんだけど、家事は女のすることと思っている。だから彼女は仕事のかたわら家事と育児をワンオペでこなしていて、大忙しだ。なのに、困っている人がいるとお金にならない仕事でも引き受けてしまう、お人好し。
そんな彼女が“やりましょう!”と引き受けたのが、日本で初めてのハラスメント裁判。不当に職場を追われた上原恵(ファーストサマーウイカ)を原告とする裁判だった。

「作品や役を通して、明日が少し明るくなったり、見てくれる人に元気や勇気を届けられたらといつも思っています。この作品の脚本を読んだときも、同じことを思いました。しかも実話に着想を得た物語と聞いて、びっくりすると同時に、多くの方に届けたいと思いました。ファーストペンギンじゃないけど、こういう人がいてくれるから、世の中が少しずつでも良いほうに、動いていくんですよね」

舞台となるバブル全盛期の日本は、
“男尊女卑が当たり前”の時代
©2026「ファーストボイス」製作委員会
今よりずうっと男尊女卑の世の中で、女性が不利な立場にたつのは、ほとんど日常茶飯事。裁判なんかやったって、勝てっこない。みんながそう言う状況の中で、この原告の女性を強く励ましたのが、当時絶大な人気を誇っていた『MORE』。この『MEN’S NON-NO』と同じ、集英社が出していた女性月刊誌だ。1977年に創刊し、2026年に休刊となってしまったけれど、リアルタイムの女性たちに、強いメッセージを送り続けていた。つまり、『女性も働いて自立して生きていく権利がある!』ってね。
©2026「ファーストボイス」製作委員会
この映画はあくまでもフィクションで、実際の裁判である福岡セクシュアル・ハラスメント裁判に着想を得て制作されたものだけど、『MORE』が果たした役割は、現実のもの。現にこの記事を書いている筆者自身、『MORE』を読んでなるほど、と思い、大学を卒業後、就職しないでフリーランスのライターになった。そして本作の物語が展開するまさにこの時期、『MORE』で原稿を書いていた。だからこの映画を見ていると、改めて当時の男優先社会の息苦しさを思い出す。そして『MORE』編集部の端っこにいた人間として、ちょっぴり誇らしい気持ちになる。
©2026「ファーストボイス」製作委員会
ま、昔話はこれくらいにして。主演の綾瀬さん自身は、41才になったばかり。自身はハラスメントを実感したことはないという。
「私は16才くらいからこの世界で働いてきて、男女差別とか、お仕事の場で感じたことはありません。ぼやっとしてたのかもしれないけど(笑)。でも共演の木村多江さんと撮影の合間にお話していたら“そうそう、昔はこうだったのよー”って笑ってました(笑)。本当に、男女問わず、みんなが平等に、気持ち良く働ける社会っていうものが、できたらいいですよね」
こういうテーマの映画をメンズノンノが取り上げるのは、ちょっと冒険。だって、セクシャル・ハラスメントって今のところ、男が悪役になるケースのほうが多いから、敬遠されてしまうかもしれない。でもこの作品、実は若い男性にこそ、見てほしい1本なのだ。
その“違和感”が
進化するための大事な一歩になる
男性の出演俳優は、工藤阿須加、水川かたまり、我らがメンズノンノモデル鈴鹿央士に、迫田孝也、酒向芳。クセ強の名優揃いだ。それぞれが演じているのは、当時の日本にはよくいるタイプの男性たち。偉そうな上司、尊大な弁護士、裏表の激しすぎる経営者などなど。
©2026「ファーストボイス」製作委員会
提訴を受けて、彼らがどんな反応をするのかが、この映画のポイント。保身のためには平気で嘘をつき、ダメージを回避するためには急遽、男同士のネットワークが作動する。自分を守るためには、平気で手のひらを返す。意識の底には、世の中を動かしているのは俺たち男だ、女より男が偉いという強烈な思い込みがあるように見える。あくまでも役柄、ですけどね。
もちろん、彼らはそういう環境で育ってきてしまったから一概には責められない。妻子を養うためにあえて泥を被る、なんて言い訳もあるだろう。でもそういう姿を一歩引いて客観的に見たとき、どう見えるのか、この映画はさらっと教えてくれる。若いみんなには、こういうオジサンにはならないぞという反面教師に、してほしい。
「だから、違和感を持つって大事なことだなって思いました。これがフツウだから、これが常識だからって諦めたり考えるのを止めたりすることもあるけど、“ん?”って、その違和感を大事にすることがまず一歩、踏み出すことにつながるのかなって」
©2026「ファーストボイス」製作委員会
そう、これはセクシュアル・ハラスメントだけの話じゃない。国籍とか出身地とか学歴とか容姿とか能力とか、人が人を区別してしまう物差しはさまざま。人権という言葉を前にして、自分の中にあるその物差しをどう扱うのか。自分もまた測られているその物差しと、どう立ち向かうのか。この映画、そう考えると、なかなか見応えがある。
前田哲監督によると、主演の綾瀬はるかさんは当て書きで、主人公を演じた。彼女が演じたことで、「人の痛みに寄り添う包容力と優しさを持ち、周囲を気遣いつつ、ピンチをチャンスに変えて前を向いていく、おおらかでちょっとあわてんぼうでお茶目な面がある」朝日弁護士になった、とか。

綾瀬さん自身も、「朝日弁護士はなんかこう“やってやる!”みたいな人じゃなくて、静かな、たおやかな中にそういう強さがある人。名声とかお金目当てじゃなくて、本当にその人のための、優しさからくる強さがある人だから、ステキだなと思いました」と言っている。監督がイメージしたのは、ジュリア・ロバーツ主演の映画『エリン・ブロコビッチ』(2000)。なるほどね、見終わって、爽快感がハンパない。
バブル時代のファッションも
『ファーストボイス』の見どころ!
心に残るのは、朝日弁護士が裁判で語る、最後の口頭弁論のシーンだ。
「みんなに『想像してみてください』って言うところ、すごい好きなんです。やっぱり、他人事だと思うとそのまま流れてしまうけど、もしそれが自分の大事な人だったら、自分の家族だったら、そして自分自身だったら、受け流せるのか。その人の立場に立つことを想像するということが、どれだけ大事なのか。あのシーンであらためて感じました」
そしてもちろん、ビジュアルも最高。昭和から平成にかけての時代背景は、今みるとなんだか、元気いっぱいだ。
©2026「ファーストボイス」製作委員会
「ファッションとかヘアとかメイクとか、すごく楽しかったです。肩パッドが入ったボディコンのスーツとか、ボリューミーなヘアとかハイヒールとか。華やかでカラフルだし、エネルギーを感じます。パワーがある時代なんだなって感じました。ただまあ、その裏にそういう、生きづらい部分がいっぱいあったんだなってことも、今回知ったりして」
そう、光が強ければ、影も濃い。『ファーストボイス』は、そんな社会派エンターテインメント映画だ。
女優
綾瀬はるか さん
1985年生まれ、広島県出身。2000年、芸能界デビュー。映画『レジェンド&バタフライ』(23)『リボルバー・リリー』(23)『ルート29』(24)『人はなぜラブレターを書くのか』(26)『箱の中の羊』(26)、TVドラマ『NHK大河ドラマ 八重の桜』(13)『義母と娘のブルース』シリーズ(TBS/18~)『天国と地獄~サイコな2人~』(TBS/21)『元彼の遺言状』(CX/22)『ひとりでしにたい』(NHK/25)ほか出演作多数。
映画『ファーストボイス』
あらすじと公開情報
弁護士・朝日道子(綾瀬はるか)は3人の子どもを育てながら、困っている人を放っておけないお人好し。自ら望んだわけでもないのに不当に職場を追われた上原恵(ファーストサマーウイカ)の話を聞いて、提訴することを決める。それが『ハラスメント』が裁かれる、日本で初めての裁判となった。
朝日弁護士はなぜその“勝ち目のない無謀な戦い”に挑戦したのか。朝日の事務所で働く若手弁護士・藤野栞(松本穂香)、共闘する女性たちの心の葛藤や成長が、物語を盛り上げる。福岡セクシュアル・ハラスメント裁判に着想を得たフィクションだが、今見る私たちにも強く訴えるものがある作品だ。
映画『ファーストボイス』公式サイトhttps://movies.shochiku.co.jp/firstvoicemovie/
『ファーストボイス』
10月2日(金)全国ロードショー
配給:松竹/ワーナー・ブラザース映画
©2026「ファーストボイス」製作委員会
出演:綾瀬はるか、ファーストサマーウイカ、松本穂香、峯村リエ、山田真歩、工藤阿須加、水川かたまり(空気階段)/鈴鹿央士、迫田孝也、酒向芳、木村多江、筒井道隆
監督:前田 哲 脚本:橋本裕志 音楽:富貴晴美
製作:「ファーストボイス」製作委員会
主題歌:ちゃんみな「History」 NO LABEL MUSIC / Sony Music Labels Inc.
Photo: Takumi Yabuki [W]
Hair: Asashi [Ota Office]
Make-up: Asami Taguchi
Stylist: Saki Nakazawa
Interview&Text: Mayu Okamoto
ニット¥456,500・スカート¥1,705,000(すべて予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)
衣装問い合わせ先:
プラダ クライアントサービス TEL: 0120-45-1913

メンズノンノ編集部
集英社の男性ファッション誌『メンズノンノ』の公式サイト。20代の男性に向けて最新のファッション、美容、ライフスタイル、カルチャー情報などを毎日お届けします。
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